散れども切れぬ備忘録

代数学やその他数学に関することなどをそこはかとなく書きつくる備忘録

代数学・圏論

メモ8(淡中随伴)

メモです。2020年10月あたりから考え始めて、2021年5/12に解決した、淡中随伴の証明をします。 まえがき 反変随伴 淡中随伴 準備 圏の構成 関手の構成 単位の構成 余単位の構成 証明 まえがき 淡中随伴とは、大雑把に言えば 圏MonVと圏V-Cat/Vの間に 関手End…

淡中再構成(モナドと作用付集合)

【この記事は アドヴェントカレンダー Math https://adventar.org/calendars/5029 の6日目の記事です】今回は、以前書いた『 淡中再構成(モノイド作用)』を一般化して、モナドとその加群*1についての淡中再構成を証明します。 前提知識は以前と同様に圏論の…

淡中再構成(環上の加群)

今回は環とその上の加群の圏の淡中双対を紹介します。 内容としては『淡中再構成(モノイド作用)』( https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2020/03/19/152756 )とほぼ同じですが、これを環上の加群についての議論に持ち上げます。よって、アーベル群の知識が…

淡中再構成(一点圏と前層圏)

以前 『淡中双対(モノイド作用)』(https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2020/03/19/152756)という記事を書きました。これはもう題名の通りで、モノイドとその作用付集合の間には淡中双対と呼ばれる双対の関係がある、という内容でした。 今回もこれと全く同…

圏論ゼミ 『向き付き絡み目の量子不変量』

7/12に行われたオンラインゼミで量子不変量に関する発表をしてきました。 その時のスライドショーを公開します。 質問等あればTwitter(@zangiri_two)で言って頂ければ対応します。[前提知識] 大体『圏論の基礎』を読み通していれば大丈夫です。 目安としては…

米田の補題に挑む

圏論を始めたばかりの頃に米田の補題の証明を追った時のメモです。 手書きなので字が汚い上、一部変な仮名遣いになってますが、解読できれば有益だろうと思いましたのでここに画像として上げておきます。 Twitter(@zangiri_two)の方に連絡して下されば 字の…

ベクトル空間から始める圏論入門

題名の通りです。 備忘録なので多少雑に書きますが、できる限り丁寧に書きます。 まえがき 第一部 ベクトル空間のことば アーベル群 アーベル群の演算 体 ベクトル空間 ベクトル空間の演算 ベクトル空間のテンソル積 第二部 圏論のことば 圏 様々な圏・射 関…

Rigid monoidal category⇒Closed monoidal categoryの証明

題名の通りです。 双対対象(ベクトル空間に対する双対空間のようなもの)を持つ圏をRigid monoidal category(和名:剛モノイダル圏)といい、内部Hom(ベクトル空間に対する写像空間のようなもの)を持つ圏をClosed monoidal category(和名:閉モノイダル圏)といい…

淡中再構成(モノイド作用)

淡中双対の簡単な例(モノイド作用を使った例)を紹介します。※この記事では米田の補題(『ベーシック圏論』第4章までの内容)は既知とします。 Terminology モノイドの圏 モノイド作用の圏 前層圏と米田の補題 Lemma Main Theorem Terminology 以前『有限群の淡…

カルテシアン圏上の余代数

余代数について調べていた所、「(もっと一般にカルテシアン圏)上の余代数構造は一意に定まる」という文を見つけました。「ほんまか?」と思い色々考えていたのですが、どうやら簡単に示せるようなので、備忘録も兼ねてブログにします。 前提知識は圏論の初歩…

有限群の淡中再構成(Tannaka Reconstruction)その3

今回も前回( https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2019/10/18/202302 )、前々回( https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2019/10/17/023930 )に続き、有限群の淡中再構成を紹介していきます。 さて、いくつかの補題と主定理の証明をします。 補題3 補題4 補…

有限群の淡中再構成(Tannaka Reconstruction)その2

前回( https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2019/10/17/023930 )に引き続き有限群の淡中再構成を紹介していきます。今回はいくつかの補題を述べたいと思います。 補題1 補題2 補題1 [補題1] 有限群とその元及びの表現に対して 線型写像を と定義する。 この…

有限群の淡中再構成(Tannaka Reconstruction)

2,3回に分けて、「有限群をその表現の成す圏から復元する」という淡中再構成(Tannaka Reconstruction)の一例を紹介します。初回となるこの記事では、主定理の主張とその証明をするための前提知識の紹介をします。この記事を読むために必要な知識は群論と線形…

GrpとAbの間の随伴(おまけ:随伴の合成)

備忘録です。 群の圏Grpとアーベル群の圏Abの間には随伴関手があります。これを説明しました。短いので画像にしています。 「何を言ってるのかわからない」という方は群論の教科書とベーシック圏論の1,2章を読むといいでしょう。もしくは散切に聞いてくださ…

近代のガロア理論と参考文献

題名の通りです。 近代のガロア理論に関するpdfを書いたので、演習問題と共にここに公開します。[注意事項] ・前提知識は群論・体論の初歩です(少なくとも高校数学ではない)。 ・結構読みにくいと思います。ご注意ください。 ・誤字等ありましたらご連絡ください…

代数的数全体の集合が体を成すことの証明(with体論)

《この記事はアドベントカレンダー「数学」(→https://adventar.org/calendars/3185 )の16日目の記事です。》 完全に私事なのですが、かなり前に「超越数論入門」と題して超越数論の基本をまとめました。そこでちょろっと紹介した「代数的数全体の集合は体を…