散れども切れぬ備忘録

代数学やその他数学に関することなどをそこはかとなく書きつくる備忘録

多項式と超越数

題名の通り、多項式超越数を代入した値の超越性についての備忘録です。備忘録なので雑に書きますが御容赦下さい。

さて、本題ですが、二つの定理(一つのよく知られた定理とそのちょっとした拡張)を紹介します。

以下、単に多項式と言えば有理数係数の一変数多項式とします。

[定理1]
tを超越数、f(x)を次数が0でない多項式とすると、f(t)は超越数である。
[証明]
f(t)が代数的数であったと仮定する。このとき多項式g(x)が在ってg(f(t))=0となるが、gfは多項式なのでtが超越数であることに矛盾する。故に、云々□

[備考]
代数的数体は代数閉体であるから、多項式を代数的数係数としても差し支えない。

[定理2]
f(x_1,...,x_n)∈Q[x_1,...,x_nで定数でない,tを超越数,k_1,...,k_nを各々0でない整数]とする。
このとき、T=f(t^{k_1},...,t^{k_n})とするとTは超越数である。
[証明]
充分大きな自然数mを取れ。
するとt^mT=t^mf(t^{k_1},...,t^{k_n})=g(t),g(x)∈Q[x]となる。
このときT=\frac{g(t)}{t^m}である。
Tを代数的数としP(x)をその定義多項式とする。
するとP(T)=P(\frac{g(t)}{t^m})=0となる。
充分大きな自然数m'を取れ。
するとx^{m'}P(\frac{g(x)}{x^m})=P'(x),P'(x)∈Q[x]となる。
このときP'(t)=0となるが、これはtが超越数であったことに反する。故にTは超越数である。□

[備考]
こちらも同じく係数は代数的数であるとしてよい。
またk_i>0とするとこれは定理1になる。つまり定理2は定理1の拡張である。

例)π+1/πは超越数である。