散れども切れぬ備忘録

代数学やその他数学に関することなどをそこはかとなく書きつくる備忘録

2019-01-01から1年間の記事一覧

カルテシアン圏上の余代数

余代数について調べていた所、「(もっと一般にカルテシアン圏)上の余代数構造は一意に定まる」という文を見つけました。「ほんまか?」と思い色々考えていたのですが、どうやら簡単に示せるようなので、備忘録も兼ねてブログにします。 前提知識は圏論の初歩…

有限群の淡中再構成(Tannaka Reconstruction)その3

今回も前回( https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2019/10/18/202302 )、前々回( https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2019/10/17/023930 )に続き、有限群の淡中再構成を紹介していきます。 さて、いくつかの補題と主定理の証明をします。 補題3 補題4 補…

有限群の淡中再構成(Tannaka Reconstruction)その2

前回( https://zangiri.hatenablog.jp/entry/2019/10/17/023930 )に引き続き有限群の淡中再構成を紹介していきます。今回はいくつかの補題を述べたいと思います。 補題1 補題2 補題1 [補題1] 有限群とその元及びの表現に対して 線型写像を と定義する。 この…

有限群の淡中再構成(Tannaka Reconstruction)

2,3回に分けて、「有限群をその表現の成す圏から復元する」という淡中再構成(Tannaka Reconstruction)の一例を紹介します。初回となるこの記事では、主定理の主張とその証明をするための前提知識の紹介をします。この記事を読むために必要な知識は群論と線形…

多項式と超越数

題名の通り、多項式に超越数を代入した値の超越性についての備忘録です。備忘録なので雑に書きますが御容赦下さい。さて、本題ですが、二つの定理(一つのよく知られた定理とそのちょっとした拡張)を紹介します。以下、単に多項式と言えば有理数係数の一変数…

GrpとAbの間の随伴(おまけ:随伴の合成)

備忘録です。 群の圏Grpとアーベル群の圏Abの間には随伴関手があります。これを説明しました。短いので画像にしています。 「何を言ってるのかわからない」という方は群論の教科書とベーシック圏論の1,2章を読むといいでしょう。もしくは散切に聞いてくださ…

超越数と体に関する備忘録

今回のブログは群論のようで体論のようでどちらでもない、つまらない備忘録です。 話のネタ程度に見て頂ければ、と思います。 [定義] 群Gとその部分群Hに対し、差G\HをGのHによる差群と呼ぶ。 ※差群は単位元を持たないため群ではない。 ※勿論一般的な用語で…

近代のガロア理論と参考文献

題名の通りです。 近代のガロア理論に関するpdfを書いたので、演習問題と共にここに公開します。[注意事項] ・前提知識は群論・体論の初歩です(少なくとも高校数学ではない)。 ・結構読みにくいと思います。ご注意ください。 ・誤字等ありましたらご連絡ください…

指数と超越数について

今回は題名の通り指数と超越数の関係について紹介します。備忘録なので結構適当に書きます。予め御了承下さい。 §1導入と補題 §2本題(超越数の指数) §1導入と補題 この世にはゲルフォントシュナイダーの定理という定理がありまして、ステートメントは以下の…

フィボナッチ数の逆数和について

この記事では「フィボナッチ数」とその逆数和について、ある面白い性質を紹介したいと思います。 フィボナッチ数の一般項も一から導くので「隣接三項間漸化式なんてワケワカメや…」という方も安心してください。 §1フィボナッチ数とその一般項 §2逆数和とそ…

階乗の逆数和について(超越数論の研究)

今回は最近うだうだと考えていたことを吐き出したいと思います。吐き溜めかつ備忘録なので適当に書きます。予め御了承下さい。 ネイピア数が階乗の逆数和で表されるというのはご存知でしょうか。母関数()を考えて微分方程式を解けば一発KOですね。で、階乗の…